インランド・エンパイア ほか
シネマ・チェック (★=20点 ☆=10点)
| インランド・エンパイア Inland Empire/M |
「マルホランド・ドライブ」に続く
デヴィッド・リンチ監督の
デビュー30年目の新作
11月15日公開予定 ★★★(TK)
あの衝撃的なデビュー作「イレイザー・ヘッド」から、もう30年――。独特の世界観を持ち、日本ではテレビ・ドラマ「ツイン・ピークス」で有名な監督、デヴィッド・リンチの新作が今回紹介する「インランド・エンパイア」だ。
前作の「マルホランド・ドライブ」は、ナオミ・ワッツが大ブレイクするきっかけとなったことでも話題を呼んだが、それだけではなく、脳がでんぐり返ったような展開に、ハリウッドのキラキラ感、主演女優2人の濃密な演技と、相変わらずのリンチ節炸裂で、大好きな映画の1本。
今回の「インランド・エンパイア」は、またまたハリウッドを舞台にした女優の話ということで、「マルホランド・ドライブ」と類似し、謎解きも期待できるのでは
? と、公開前からファンの間で話題になっていた映画だ。
ストーリーは、ハリウッドの女優ニッキー・グレイスの自宅に見知らぬ老婦人が訪ねてくるところから始まる。その老婦人は、ニッキーに対して、予言をするのだが、その予言通り、新作映画の主役に抜擢される。しかし、その映画は主役の2人が謎の死を遂げ製作が中止に追い込まれていた、ポーランド映画「47」のリメイクだった。映画の撮影が進むにつれ、作品中の役に同調するようにニッキーは相手役のデヴォンと不倫関係になっていく。そして、彼女の周りで不可解な事が起こり始め、やがて現実と映画の区別が付かなくなっていく…。
見ていて、今のシーンは撮影中のリメイクなのか、オリジナルの映画「47」なのか分からなくなるし、さらに演劇の一部のようなウサギ人間が出てくる部屋に、それらをモニターで見ている「ロスト・ガール」と、なんと5つの世界が次第に入り混じって出てくるからもう大変
! 「マルホランド・ドライブ」では、その現実なのか、夢なのか、混濁した世界がおもしろかったが、ここまでくるとお手上げ !
しかも画像が全編デジタル・ビデオで撮影された、かなり粗い画像で、さらに上映時間は3時間近くという、実験的な映画。ファンの人は、3時間もリンチ・ワールドが楽しめるとあって、たまらないだろうが、それ以外の人にとっては拷問のような作品だ。実際、映画途中で席を立つ人、続出
!
まあ、そうは言っても、デヴィッド・リンチです。不条理な展開や、時間や空間、ストーリーのねじれ方など、普段では絶対にできない悪夢のような映画体験ができるのも事実。もともとこの映画、ちゃんとした台本がないまま撮影がスタート、俳優には当日に数ページの台本が配られたそうで、逆に、そんな状況でよく映画を完成させたものだと感心してしまう。まあ、映画として完成していないと感じる人もいるでしょうが…。
日本人にとっては、ポケベルが鳴らずに日本女性を敵にまわした裕木奈江が、相変わらずのポヨポヨ演技で出演しているのにも注目。
![]() |
11月1日公開予定 ★★★☆(TK) タイトルが「アクロス・ザ・ユニバース」、登場人物の名前がジュード、ルーシー、セディ、ジョジョって言ったら、ハイ、もうお分かりですね、ビートルズの楽曲を全編にちりばめたミュージカルです。60年代、イギリスのリバプールで育ったジュードが生みの父親を探しにベトナム戦争中のアメリカに渡り、そこで大学生のマックスと知り合う。そのマックスの妹、ルーシーとジュードは恋に落ちるが…。U2のボノや、ジョー・コッカーも出演し、「ライオン・キング」でトニー賞を受賞した舞台出身のジュリー・テイモア監督のカラフルな映像も見所。アイデア的にはミュージカル「マンマ・ミア」からかな ? |
![]() |
11月1日公開予定 ★★★(TK) 「8人の女たち」「スイミング・プール」などフランス映画界を代表する監督フランソワ・オゾンの新作は、初の英語作品。1900年代初頭のイギリス。田舎町で小さな食料品店を営む母親と店の2階に暮らすエンジェルは、上流階級の生活に強い憧れを抱いている少女。その憧れを小説に託した彼女は、ついに作家としてデビューし、望んでいた上流階級の暮らしや豪邸、画家との結婚、すべてを手に入れる。しかしそれはいつまでも続かなかった…。自分は由緒正しい貴族の娘として生まれているはずだったと思い込んでるようなイヤな女を、それでも共感できるキャラクターとして描いてるのは、さすがオゾン。 |
![]() |
11月15日公開予定 ★★☆(KK) 全米映画興行収入ランキングで、初登場1位となったジョシュ・ハートネット主演のバンパイア・スリラー。アラスカ州にある米国最北端の町、バローでは、冬の間30日にわたり日が昇ることがない。その暗闇の中から現れたバンパイアたちが町に残った住人を次々と襲いはじめる。夜明けが訪れるまでの30日間を生きのびることができるか…。「スパイダーマン」のサム・ライミがプロデュース、監督があのマジで恐かった「ハード・キャンディー」のデビッド・スレードということで期待したスリラーだけど、ゾンビ映画などで、もうこの手のネタが出尽くしてる感があって、どっかで見たようなシーンの連続ばかり。 |
![]() |
11月22日公開予定 ★☆(TK) 「メリーに首ったけ」の監督ピーター・ファレリー、ボビー・ファレリー兄弟の新作コメディー。1972年の映画「ふたり自身」をベン・スティラーを主演にリメイク。40歳にして独身のエドワードは、理想の相手ライラと出会いすぐに結婚するが、新婚旅行で彼女の身勝手でわがままな正体が発覚する。そして、その旅行中にまさしく本当の理想の相手が現われたエドワードは…。ファレリー兄弟ってことで相変わらずお下品なギャグが続くが、ポイントは、結婚相手の女の子。確かに彼女、ドン引きするほど変な性格なんだけど、中途半端にいい人だから同情してしまった。ラストも、意外と言うより、呆れた終わり方。 |



