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2007年12月24日

魔法にかけられて

今月のムービー・レビュー
Enchanted/G 公開中
★=20点 ☆=10点

★★★★(TK)

ディズニーの新境地
実写とアニメーションを融合させたセルフ・パロディー満載のファンタジー・ロマンス

 ディズニー映画と言えばアニメーション。『美女と野獣』『アラジン』『ライオン・キング』などの名作をいくつも残しているが、『トイ・ストーリー』以来、CGアニメが主流になり、セル画を使うディズニーのアニメはすっかり過去のものとなってしまった。もちろんディズニーは『Mr.インクレディブル』『ファインディング・ニモ』など、CGアニメも配給しているがあくまでも配給で、製作はすべてピクサー社。今ではピクサーの名前がすっかり浸透しており、それらをディズニーのアニメと呼ぶ人は少ないだろう。さらにライバルであるドリーム・ワーク社がディズニーの過去のアニメをパロディーにした『シュレック』を大ヒットさせてからは、その存在はさらに影が薄くなってしまった。
 今回紹介する映画はそのディズニー映画の『魔法にかけられて』。おとぎの国 、アンダレーシアに住む心優しいプリンセス・ジゼルが主人公。彼女は、王子様との結婚式の当日に、魔女に騙されて世にも恐ろしい世界へと追放されてしまう…。そこはなんと、現代のニューヨークだった ! そこで彼女は、バツイチで子持ちの弁護士と知り合うが、彼は夢や魔法を信じない現実的な性格。そしてジゼルの婚約者、エドワード王子が彼女を救うべくやって来る。さらに、魔女も彼女を追ってきて、ニューヨークの街は大混乱に…。
 いきなり昔の手書きセル・アニメで始まり、それがニューヨークのシーンでは実写に変わるのだが、映像だけでなく、今までの常識をくつがえすというか、時代は変わったというか、ついにディズニーがセルフ・パロディーを始めてしまった ! そう、『シュレック』でディズニーではできないからこそ笑えた『白雪姫とシンデレラの喧嘩』みたいなシーンを堂々と本家がやってしまった感じだ。冒頭のコテコテのセル・アニメのシーンで緑の怪物が出てきたり、『シュレック』で売られた喧嘩をこの映画で買ったような展開にニンマリ。

今月のムービー・レビュー
 もちろんディズニーとしての最低限の品格は保っており、まさにホリデー・シーズンにふさわしいファミリー・ムービー。歌あり、ダンス・シーンありで、お子様より、ディズニーの黄金時代を知っている、お母さんの方が喜ぶかも ? だって「毒リンゴ」に「真実のキス」「華麗な舞踏会」と、『白雪姫』『眠れる森の美女』『シンデレラ』『リトル・マーメイド』『美女と野獣』など子どものころワクワクして見たディズニー・アニメを知っていれば知っているほど楽しめる内容。ナレーターがジュリー・アンドリュースだったり、過去のディズニーの映画に由来する名前や人物がいくつも散りばめらているのもポイント。
 主人公のジゼルを演じるエイミー・アダムズの“お姫様キャラ”も笑えるし、あの『X-MEN』で消えていくかと思われたジェームズ・マースデンの白馬の王子様ぶりもハマっていた(彼、宝塚風の衣装を身にまとい、『ヘアスプレー』に続いて、またまた歌っています)。さらに、『グレイズ・アナトミー』のパトリック・デンプシーとプリンセスのラブ・コメ風の要素も入っており、誰にでもお薦めできる1本。

ライラの冒険 黄金の羅針盤

今月のムービー・レビュー
The Golden Compass/PG 公開中
★=20点 ☆=10点

★★(TK)

『ロード・オブ・ザ・リング』『ナルニア国物語』と、定番ともなったこの時期に公開されるファンタジー映画、今年はコレです。児童文学界のアカデミー賞ともいえるカーネギー賞で、過去70年で最も優れた作品に選ばれた、英国作家フィリップ・プルマンの全3部作からなる小説を映画化。12歳の少女ライラは、ゴブラーズと呼ばれる謎の一味に誘拐された友達を助けようとするが…。正直、今までのファンタジー映画をミックスしただけ(鎧グマはガンダルフ ! クリストファー・リーも ! )。対象も子どもなのか大人なのか微妙に判断できない。しかもシリーズものなので、謎は解決しないまま持ち越し。唯一良かったのは、ダイモンと呼ばれる、言葉を話す動物の形をした守護精霊が、人間に付き添っているというアイデアと映像。先に公開されたアメリカでは期待したほどのヒットにはならず、続編は作られるのか ? そこが問題 !

ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記

今月のムービー・レビュー
National Treasure: Book of Secrets/PG 公開中
★=20点 ☆=10点

★★(TK)

 大ヒットしたアクション・アドベンチャーの第2弾。ニコラス・ケイジら前作の主要キャストに、ヘレン・ミレンやエド・ハリスなど豪華な出演陣で、世界を舞台にした娯楽作。でも、次から次へと簡単に問題が解決して行くイージーさ、“どこかで見た”アクション・シーンの連続にうんざり。見た目重視と酷評されることも多いブラッカイマーの製作ってことで、ツッコミながら観るのが正解 ! ?

ダージリン急行

今月のムービー・レビュー
The Darjeeling Limited/M 公開中
★=20点 ☆=10点

★★★(TK)

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で高い評価を受けたウェス・アンダーソン監督の新作。父親の死をきっかけに、疎遠だった3兄弟が神秘に満ちたインドの列車旅行に出発する…。『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ、アンダーソン監督作品の常連であるジェイソン・シュワルツマン、それに自殺未遂騒動のオーウェン・ウィルソンが3兄弟役。家族の愛と絆を再確認する脱力系コメディー。

アイム・ノット・ゼア

今月のムービー・レビュー
I'm Not There/M 公開中
★=20点 ☆=10点

★★☆(TK)

 ボブ・ディランの伝記映画だけど、6人の俳優がそれぞれ違う名前で6人のボブ・ディランを演じるという、かなり異色な映画。しかもその俳優の中には、ケイト・ブランシェットや、黒人の少年も含まれ、かなり頭を柔らかくして見ないとついていけない。確かにおもしろい試みだし、それは成功しているとは思うけど、ボブ・ディランを知らない世代にとっては、かなり退屈に感じるのでは ?

2デイズ・イン・パリス

今月のムービー・レビュー
2 Days in Paris/MA 公開中
★=20点 ☆=10点

★★☆(TK)

 ニューヨークで写真家をしているパリ出身のマリオンと、恋人のアメリカ人ジャックは、ベニス旅行の帰りに、マリオンのパリの実家に2日間立ち寄ることにするが…。フランス人女優ジュリー・デルピーの監督・制作・脚本・編集・主演作品。仏米カルチャー・ギャップや粋な台詞まわしなどで笑わせるが、主人公2人に共感できなくて、前作『ビフォア・サンセット』ほどは楽しめなかった。

ノー・カントリー

今月のムービー・レビュー
No Country for Old Men/MA 公開中
★=20点 ☆=10点

★★★☆(TK)

 1980年代のテキサス、国境近くの僻地に住むモスは、砂漠の真ん中で大量の麻薬を積んだトラックと、たくさんの死体、そして2億ドルもの大金の入ったバッグを見つける。その大金を持ち帰ったモスと、それを追うアントン、さらに保安官ベルも加わった逃亡劇が始まる…。小説「血と暴力の国」をコーエン兄弟が映画化。各メディアからも絶賛、既に始まっている賞レースでもいくつかの賞を受賞しており、今年のオスカーの目玉となりそうな勢い。コーエン兄弟の『ファーゴ』と同じクライム・サスペンスだが、殺人鬼を演じるハビエル・バルデムが凄い ! 髪型が怖い ! たぶん映画史に残るキャラクターになるだろう。ただ、ストーリー的には難解な部分もあり、批評家受けはいいかもしれないが、一般向けにはどうだろう ? 犯罪映画だけど、コーエン兄弟が目指しているところは違った部分にあり、ラストはいい意味でのあっけなさだった。

ウォーター・ホース

今月のムービー・レビュー
The Water Horse: Legend of the Deep/PG 1月10日公開予定
★=20点 ☆=10点

★★(TK)

 ネス湖のネッシーの写真をもとに、第二次世界大戦中の荒涼としたスコットランド・ハイランド地方を背景にした、少年と世界に1匹しか生まれないと言われる 伝説の海獣との友情物語。『ナルニア国物語』と『ロード・オブ・ザ・リング』のSFXスタジオの特撮シーンはいいとして、ストーリーが単調。分かりきった展開で、あくまでもお子様向けのファンタジー大作。

アイ・アム・レジェンド

今月のムービー・レビュー
I Am Legend/M 1月3日公開予定
★=20点 ☆=10点

★★★(TK)

 1954年に発表された、SF小説「地球最後の男」の3度目の映画化。2012年、人間の姿が消え、死んだように静まり返るニューヨークの街。その街で1人生き残ったネビル。ことの起こりは3年前、ガンを治癒する治療法が発見されたが、それは同時に人類の滅亡を暗示する出来事だった…。ということで、冒頭の人っ子1人いないニューヨークで、愛犬のサムとともに狩りをするウィル・スミス。その後、彼出ずっぱり ! がんばってます ! でも彼が出ているからといって『インディペンデンス・デイ』のようなSFを期待してはいけません。これはホラーです ! (キッパリ !)ゾンビものです ! 『28日後…』のニューヨーク・バージョンみたいな。前半はかなり怖いんだけど、後半はかなり失速…。人がいなくても、ガスや水道が普通に使えたり、突っ込みどころも満載。家が壊れるほどの爆薬を仕掛けるな ! でも、期待しなかった分、ホラーものとしては十分楽しめた。

ジュノ

今月のムービー・レビュー
Juno/PG 1月17日公開予定
★=20点 ☆=10点

★★★☆(TK)

 同級生ブリーカーと関係を持ち、予期せぬ妊娠をしてしまった16歳のジュノは、母親になる準備ができていない。そこで彼女は、生まれてくる子どもを大事に育ててくれる完璧な両親へ養子に出すことを決めるが…。10代の妊娠という重いテーマを、コメディー・タッチながらも、友達や両親の愛情を交えて描き、最後はホロッとさせらてしまった。特に継母役のリソン・ジャニーに注目 !

君のためなら千回でも

今月のムービー・レビュー
The Kite Runner/M 公開中
★=20点 ☆=10点

★★★★(TK)

『ネバーランド』のマーク・フォースター監督の新作は、アフガニスタン出身のカーレド・ホッセイニの全米大ベストセラー小説『カイト・ランナー』を原作とした感動作。ソ連侵攻前の平和な時代を送るアフガニスタン。裕福な家庭に生まれた少年アミールと、召使の子どもハッサンは大の仲良しだったが、凧上げの後の思いがけない出来事によって2人の運命は切り裂さかれてしまう。その後、アメリカへ亡命、大学を卒業し念願の小説を出版したアミールのもとへ1本の電話がかかってくる…。アフガニスタンが舞台と聞くと、戦争や紛争ものを想像するが、2人の少年の友情を描いたヒューマン・ドラマ。少年2人はもとより、アミールの父親役が良かった。特にアメリカへ亡命してからの、貧しい暮らしでも昔の気位の高さを持ち続けているところ。ほとんどが字幕の、こういった内容の映画をハリウッドが製作したことに拍手 !

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

今月のムービー・レビュー
Mr. Magorium's Wonder Emporium/G 公開中
★=20点 ☆=10点

★★★(MI)

 一歩足を踏み入れれば、大人も子どもも時の経つのを忘れて夢中になってしまうおもちゃ屋。243歳になるオーナーのマゴリアムおじさんが、風変わりで自信が持てないマネジャーに店を引き継いでもらおうとするところから、オモチャはもちろんのこと、店そのものまでもが生き物になってしまうという不可思議なことが起こり始める。ダスティン・ホフマン、ナタリー・ポートマン共演の親子で楽しめる感動のファンタジー映画。

エイリアンズ VS プレデター2

今月のムービー・レビュー
Aliens VS Predator Requiem/R 公開中
★=20点 ☆=10点

★★★(MI)

 映画史上にその名を刻む壮絶なバトル・アクション。前作の南極から一転、舞台を米国に移して無数のエイリアンたちが再び人類を恐怖のどん底に叩き込む。今作では、エイリアンとプレデターのそれぞれの特殊能力を持った最凶・最悪の新種「プレデリアン」が加わり、さらにエスカレートした戦闘シーンが満載。その後に待ち受ける、驚愕の結末は…。ぜひ、その目で確かめて欲しい。