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2008年02月06日

潜水服は蝶の夢を見る

今月のムービー・レビュー
The Diving Bell and The Butterfly/M
★=20点 ☆=10点

体が麻痺し、自由を奪われたジョン
彼は20万回のまばたきで
自伝を書き上げる

2月14日公開予定 ★★★★(TK)

 年も明け、映画関係の賞レースが本格的に始まったが、アカデミー賞の前哨戦とも呼べるゴールデン・グローブ賞が、全米脚本組合のストライキによって、前代未聞の記者会見スタイルで発表された。
 映画関係だけでなく、テレビ関係の出演者も集うゴールデン・グローブ賞は、アカデミー賞よりはリラックスした雰囲気で、年明け一番のビッグ・イベントだったので、味気のない淡々とした受賞発表は本当につまらなかった。
 そして、アカデミー賞も各ノミネートが発表されたが、未だにこのストの影響をどれだけ受けるのかは不明の状況。ただ、ゴールデン・グローブ賞に続いてアカデミー賞まで受賞イベントがキャンセルされてしまうと、全米脚本組合への風当たりは相当強くなると思われるので、これ以上ストライキが長期化するのはあまり得策とは思えない。早く交渉が成立して、アカデミー賞が例年通りに開催されるのを祈るばかりだ。
 そのゴールデン・グローブ賞で、監督賞、外国語作品賞を受賞、アカデミー賞では、監督・編集・撮影・脚色の4部門でノミネートされているのが『潜水服は蝶の夢を見る』。
 パリのファッション誌「エル」の編集長ジャン・ドミニク。突然意識を失った彼が、昏睡状態から目が覚めると、左目の視覚とまぶたの筋肉、そして聴覚以外のすべてが麻痺して動かなくなっていた…。このオープニングから、映画前半は、彼の視線でのカメラ・ワークが続き、思わず自分で体をモゾモゾと動かして、自分の体が麻痺していないかを確かめてしまったほど、リアリティーのある撮影だ。それが次第に第三者の視点へとカメラが移行していき、ようやくジャンの置かれている状況を直視することになる。

今月のムービー・レビュー
 まあ、普通の人間なら絶望で打ちのめされてしまうだろうが、言語療法士アンリエットから、唯一動かせるまぶたを使ってコニュニケーションをとる方法を聞かされた彼は、それによって、自伝を綴ることを決意する。その方法というのは、使用頻度の高い順に彼女がアルファベットを読み上げ、必要な文字が出てきた時にウインクで合図をするというもの。この途方もなく時間がかかる作業を繰り返す…。
 なんとなく暗く重い闘病物をイメージするだろうが、ジャンのユーモラスなナレーションと、フランス語の響き、それにカラフルで明るく温かな映像で、不思議な浮遊感のある作品になっている。美人ぞろいのキャスティングも狙ったものだと思う。
 話の内容から分かると思うが、すべて実話に基づいており、人間の生きる力をひしひしと感じる感動作。ただ、彼と奥さん、それに浮気相手の女性の関係など、彼を取り巻く人々をもう少し掘り下げてほしかった。
 監督は、『バスキア』『夜になるまえに』のジュリアン・シュナーベル。主演のジャンを演じるのはフランス人俳優マチュー・アマルリック。彼は、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる、次作のボンド・ムービーの悪役に配役されていることでも話題。

ナイト

今月のムービー・レビュー
Night/PG
★=20点 ☆=10点

2月7日公開予定 ★★★(TK)

 タイトルそのまま「夜」をテーマにしたドキュメンタリー。とは言っても、奇麗な夜景が続き、その間にいろいろな人のインタビューがはさまれるだけのシンプルな構成。オーストラリアのアウトバックから都会まで、さまざまな夜景が出てくるが、夜の散歩が好きな自分にとっては、普段見慣れているシーンがいくつも出てきて驚いてしまった。そういったシーンをコラージュし、また別のイメージが浮かび上がってきたりして、おもしろかった。当然、劇場で観る場合は、上映終了時間は日がどっぷり暮れている方がベター。映画の続きそのままに、夜の散歩を楽しんで帰れます。

ダン・イン・リアル・ライフ

今月のムービー・レビュー
Dan in Real Life/PG
★=20点 ☆=10点

2月14日公開予定 ★★★☆(AKE)

『40歳の童貞男』でブレイクしたスティーブ・カレル主演のロマンス・コメディー。妻に先立たれ、娘3人の面倒を見ている新聞のコラムニスト、ダン。ある日、家族の集まりに娘たちを連れて両親の家を訪れるが、そこで立ち寄った本屋で魅力ある女性と出会い、2人は意気投合する。そして、家に戻ってみると、弟の彼女が遅れてやって来た…。その彼女は、実は本屋で出会った彼女だった ! 3人の子持ちのお父さんということで、かなり落ち着いたラブ・コメ。相手役のジュリエット・ビノッシュも、かなりオバちゃんになっちゃたけど、まだまだカワイイ ! 30代以上のカップルにお薦め。

バケット・リスト

今月のムービー・レビュー
The Bucket List/M
★=20点 ☆=10点

2月21日公開予定 ★★★(TK)

 自動車修理工として46年間も働いてきた男と、大金持ちの男が入院先の病院で同室になり、お互いの過去を振り返りながら、友情を温めていくというストーリー。相変わらず「メッチャ嫌なやつだけど、いい人」っていう、ジャック・ニコルソンのために書かれたような台本で、本当、こういう役やらせたら彼にかなう人はいないと思わされる。「末期ガンを描いたコメディー」ってことで、どうやったら末期ガンがコメディーになるの ? って感じだけど、主演のジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの余裕の演技で、後味の爽やかなハート・ウォーミングな作品に仕上がっている。やはり、貧乏人は先に死ぬんだね !

ベラ

今月のムービー・レビュー
Bella/PG
★=20点 ☆=10点

2月21日公開予定 ★★★(TK)

 過去、『アメリカン・ビューティー』『ライフ・イズ・ビューティフル』『アメリ』『グリーン・デスティニー』などが受賞した、トロント国際映画祭のピープルズ・チョイス賞。その06年の受賞作品が、メキシコ系アメリカ人、アレハンドロ・ゴメス・モンテヴェルデ監督の新作『ベラ』。ニューヨークを舞台に、かつてサッカーのスター選手だったレストランのシェフが、そのレストランをクビになったウエイトレスの後を追うが…。これまた、ハート・ウォーミング系のドラマ。疲れている時や、気分が落ち込んでいる時に見れば、心が軽くなる作品だけど、ちょっとセンチメンタルすぎない ?