エル・オルファナート

The Orphanage /MA
5月29日公開予定
★=20点 ☆=10点
★★★★(Kit)
『パンズ・ラビリンス』の
ギレルモ・デル・トロが製作した
感動系ホラー・スリラー
昨年のアカデミー賞でも話題となった『パンズ・ラビリンス』。その監督、ギレルモ・デル・トロが製作したホラー・スリラーが、今回紹介する『エル・オルファナート』。監督は、そのギレルモ・デル・トロと長い付き合いのフアン・アントニオ・バヨナで、彼にとって初監督作品となる。
タイトルのエル・オルファナートとは、スペイン語で孤児院の意味。ストーリーは、昔、海沿いの孤児院で幼少期を過ごしたラウラが主人公。彼女は里親に引き取られ、その30年後に夫のカルロス、息子シモンとともに、長い間使われていなかったその孤児院に再びやって来る。彼女は、その孤児院を買い取り、そこを障害の持つ子どもたちの施設にしようと、家族と住みながら準備を始める。引っ越したころから、息子のシモンは彼にしか見えない友達と遊ぶようになり、そして、 障害のある子どもとその親たちを招いてのパーティーの最中、彼はこつ然と消えてしまう…。
これが、けっこう怖い ! というか、かなり日本のホラーに近い感じ。霊媒師が出てきたり、それを別の部屋でテレビ・モニターでチェックしたりと、日本のホラーを見慣れた人だったら似通った演出が出てきて楽しめるはず。あのアメリカで日本のホラーのリメイク・ブームのきっかけを作った『ザ・リング』がどんなに雨を降らせても、さすがアメリカ映画、カラカラに乾いていたけど、今回の『エル・オルファナート』、スペイン映画ということで、かなりジメジメ感があるのもいい。 昔の孤児院が舞台ということで、このあたりも、日本で夏の遊園地のお化け屋敷のテーマに選ばれても不思議ではないぐらい、日本的だ。

もちろん舞台はスペインの田舎町だけど、映画全体を覆う格調ある雰囲気や、どんよりとした美しい風景、叙情的なテーマと、アメリカのホラーでは到底表現できない、日本人の感覚にも十分訴えてくるホラー。「だるまさんが転んだ」なんて、日本だけの遊びかと思ってました !
ただ、母性愛を強調しているので、どうしても 日本映画『仄暗い水の底から』にも、また、ブラジル出身のウォルター・サレスが監督したそのリメイク版『ダーク・ウォーター』にも似ているし、ニコール・キッドマンの『アザーズ』にも似ているように感じてしまったのは残念。しかし、ジワジワとくる恐怖に、ショッキングなシーンの挟み方がうまく、初監督でここまでまとめ上げたのはさすが。すぐにでもハリウッドから声がかかりそう。
孤児院の秘密が少しずつ暴かれていくスリルにホラーの要素を混ぜ、さらに感動的な内容と、怖いだけではなく深みのある作品になっていて、ちょっと肌寒くなってきた今の時期にピッタリの映画。お薦めです !



