マイティ・ハート/愛と絆 ほか
シネマ・チェック (★=20点 ☆=10点)
マイティ・ハート/愛と絆 A Mighty Heart/MA |
? |
パキスタンで誘拐、殺害された
ジャーナリストの妻の手記を
元にした社会派のドラマ
10月18日公開予定 ★★☆(TK)
離婚するとか、養子がもっと欲しいとか、ゴシップの定番になっている「ブランジェリーナ」。そう、ブラット・ピットとアンジェリーナ・ジョリーのカップル2人を指す造語。この造語が広く一般的になるほど、話題に事欠かない2人だが、プロデューサーがブラピ、主演女優がアンジーと、まさにブランジェリーナ映画と呼べるのが今回紹介する「マイティ・ハート/愛と絆」。
2002年にパキスタンのカラチで取材中にテロリストに誘拐され、殺害された実在のジャーナリスト、ダニエル・パールの妻が書いた手記を元にした社会派のドラマ。ウォール・ストリート・ジャーナルの記者ダニエルは、妊娠中の妻マリアンヌと友人たちを呼んでのディナーの約束をした後、取材に出かける。ディナーの時間になっても戻ってこない夫を心配したマリアンヌは、彼と連絡を取ろうとするが、携帯はつながらないまま。そして、連絡が途絶えてしまった夫の捜索が、マリアンヌや友人たち、地元の警察によって開始される…。
カンヌ国際映画祭でも上映され、ブランジェリーナ映画ということもあって大きな話題になった作品だが、かなり地味。アンジーってことで、テロリスト相手に派手な銃撃戦とか、アクション・シーンを期待してしまうが、実話なので、当然そのような展開はなく、大きな盛り上がりもなく終わってしまった。夫の無事を祈る気丈な妻を、ほとんど出ずっぱりで熱演しているアンジーだけど、見ていて、「アンジーがんばってるなぁ」って程度で、魅力あるキャラクターにはなっていなかった。もっとマリアンヌの優しさとか、弱いところを強調しないと、彼女の秘めたる強さが浮かび上がってこず、彼女に共感するのが難しかった。
もとは、このマリアンヌ役はブラピの元妻、ジェニファー・アニストンが演じる予定だったそうで、共感という点では、ジェニファーの方が向いていたかも ? まあ、アンジーの強さはジェニファーには感じられないから、どっちもどっちかな ?
パキスタンを舞台にした政治性の強い作品が続いたマイケル・ウィンターボトムが監督だけど、今回はハリウッドの豪華キャストってことで、しっくり馴染んでないような気がした。実際、こういった実話の映画化は難しいと思う。どこまで事実に忠実にするのか、どこまで映画としてのフィクションを入れこむのか。その辺りの微妙なさじ加減に、映画が成功するか、失敗するかが懸かっている。アンジーも、フランス語訛りでカーリー・ヘアにして本人に似せようとしているが、キャラクターに深みがなく、残念ながら熱演が空回りしていた。
できれば映画より、オリジナルの手記をゆっくり読んでみたいと思ってしまった。
10月11日公開予定 ★★☆(TK) 何をするにも愛犬と一緒の中年の独身女性ペギー。しかし、その最愛の犬に死なれて失意の日々。ようやくペット・シェルターで働く男の仲介で新しい犬をもらい、気分を変える彼女。その彼に犬の訓練をお願いし、何となく彼と恋心が芽生えるが…。とってもヘンテコな映画。ストーリーが予測しない方向へ進んでいき、オフビートな笑いが満載だけど、かなり見る人を選びそう。主人公からして感情移入は難しく、そこに結婚熱に浮かれる同僚や、出世しか興味のない上司、お金持ちの弟夫婦、狩猟好きの隣人の男などが登場するが、誰とも深く関われない主人公。自分も理解不能でした…。 |
10月11日公開予定 ★★★(TK) 雪山の遭難事故を再現した『運命を分けたザイル/Touching the Void』のプロデューサーによる新作。今回は、雪山から一転、洋上のヨット・レースをテーマにしたドキュメンタリー。1969年にロンドン・タイムズがスポンサーして開催されたノン・ストップの世界1周単独ヨット・レース。それに参加した9人の男たち、そのうちの1人が、ドナルド・クロウハースト。彼はセーリング経験も豊富ではなく、かなり無謀なチャエレンジだったが…。見渡す限りの海、その中で孤独と戦いながら、同時に、後には引けない状況で、彼は何を考えたのか ? 深い内容です。 |
10月11日公開予定 ★★★(KIK) ある男の葬式の日の朝、故人の息子のダニエルは極度の緊張感に苛まれていた。父の死はもちろんだが、有名な小説家である弟ロバートがやって来るので、成功していない自分に対して、親戚一同から何を言われるのかと、うんざりしていたのだ。葬式に参加する家族、親戚たちもまた、何らかの理由で不安を抱えていた。そこへ葬式業者のミスで、別人の棺が届けられ、これを発端として、葬式は混乱し始める…。ケビン・クライン主演の『イン&アウト』やニコール・キッドマン主演の『ステップフォード・ワイフ』などの監督フランク・オズの新作。けっこうブラックで笑えます! |
公開中 ★★★ (KK) モテない男子高校生の姿を、鋭いジョークと体を張ったギャグで描いた青春コメディー。『ザ・フォーティー・イヤー・オールド・バージン』や『ノック・アップ』をヒットさせたジャッド・アパトウ監督がプロデューサーを務めている。ジョナ・ヒル演じるセスとマイケル・セラ役のエバンは、それぞれ恋の悩みを抱える高校3年生。何とか初体験にこぎ着けたいセス、同級生に長年片思いのままのエバン…と、まさに“モテない君青春奮闘記”的な設定なんだけど、本編を通して描かれる辛辣なギャグやユーモアのセンスは本気で笑える。肩の力を抜いて楽しみたい時はこれ ! |